遺言に見えた暖かい親心

先日80代のご夫婦から相談を受けました。
温厚そうなお二人でしたが相談内容は少々きつめでした。
「私たちの遺産をすべて娘にあげたいのです。息子には一円も渡さない方法を教えてください。」
私は多少戸惑いましたが詳しい話をじっくり伺いました。

「私たちには息子と娘が一人づついます。以前は嫁に行った娘がよく世話をしに来てくれました。
ところが県外に住んでいた息子が近くの借家に越してから、娘が全然来なくなりました。
不審に思い娘に尋ねると、息子に『親の世話は自分がする、嫁いだお前は出入りするな。』と言われそうです。
『お兄ちゃんは遺産を独り占めしたいのよ。』とも言っています。それでいっそのこと、遺産を全部娘にあげようと思ったのです。」

しかしそれではご兄弟の仲は悪いままになってしまうことでしょう。
解決の糸口を探るため話を伺うと息子さんはかなり責任感の強い人のようでした。
そのため誤解を受ける方法で娘さんに話してしまったようです。
もちろん遺産を独り占めするような人ではありません。
「早計でした。うっかり兄妹仲を壊すところでした。」

そこで息子には自宅を娘には預金を相続させるとし、大切な子ども達には争って欲しくないという言葉も添えた遺言を作りました。
後日、兄妹一緒に遺言を見せたところ二人とも顔をほころばせました。
息子さんは娘さんに「悪かったな」と言いました。暖かい親心が、遺言という形で表現された一件でした。

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